やっぱり、似合ってる。
そう思った。
これから夏に向かう途中だったあの日
どの浴衣の反物を仕立てようかと悩んで悩んで、結局ニ本買いしてた。
その一本を「鮮やかな青すぎて、私には似合わないかな」と彼女が言うから
『ぜったい、似合うから!大丈夫!!』と語気を強めに言った。
仕立て上がった浴衣を、彼女が去年着ることはなく
今年になって闘病中の彼女のお家に届けたのは、つい先月の頭のことで
はやく元気になって、今年の夏こそ着ようねと彼女のベッドからすぐ見える位置にその浴衣をかけておいた。
お部屋がぱっと明るくなって、一足先に夏の気配がした。夏空のような、鮮やかな青。
今日も、とてもいい天気だったよ。
夏の匂いがした。
天国で、たくさんたくさんお着物を着て楽しんでいてほしい。
ずっと忘れない。
記憶の中の彼女は、一年前の綺麗な姿のままなの。いつも素敵なセンスで着こなしてる、憧れのひとのまま。
ゆっくり、休んでね。